墓じまいは、墓石を撤去して区画を返すと元には戻せません。考え始めると、取り返しのつかないことにならないかが気になります。
墓じまいの後悔は、親族、費用、お寺、遺骨の行き先の4つに分かれます。どれも着手する前に決めておけば避けやすいので、後悔ごとに先に決めることをまとめました。
墓じまいの後悔は4つ
- 親族から反対や不満が出る
- 思っていたより費用がかかる
- お寺との関係がこじれる(お寺の墓地の場合)
- 遺骨の行き先を後から悔やむ
墓じまいの後悔は4つに分かれる
| 後悔 | 何が起きるか | 先に決めること |
|---|---|---|
| 親族の反対 | 墓じまいを決めた後で、親族から不満が出る | 誰と話し合い、どの順で伝えるか |
| 費用 | 撤去の見積もりに、遺骨の行き先の費用が後から足される | 遺骨の数と行き先を含めた総額と、負担する人 |
| お寺との関係(お寺の墓地の場合) | 離檀の話がこじれ、改葬の手続きが長引く | 離檀をどんな形で相談するか |
| 遺骨の行き先 | 合祀や散骨の後で、手を合わせる場所がほしくなる | 遺骨を全部移すか、一部を手元に残すか |
墓じまいは法律の用語ではなく、墓石を撤去して区画を墓地に返し、遺骨を取り出すことです。取り出した遺骨を別のお墓や納骨堂へ移すことが、法律上の「改葬」です。
散骨は改葬にあたらないと川口市と八王子市が案内しており、八王子市は、改葬先を決めずに遺骨を自宅へ引き取る場合も改葬にあたらないとしています。移し先が決まったら、手続きはお墓のある市区町村に確かめてください。
参照:墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)・川口市「改葬許可」・八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」(確認日:2026年10月23日)
当サイトのアンケートには、お墓を持たずに海洋散骨を選んだ人の迷いも届いています。40代の回答者は、子どもがいないことから、将来お墓を見る人がいなくなると考えていました。
「家族の話し合いも沢山しましたが、結局見る人がいなくなるのを理解して理想より現実の事を考えました。でも難しかったです。」
40代・家族が申し込み・合同散骨・2024年以降・東海(当サイトのアンケート)
この回答者は遺骨をすべて海へ還しました。散骨のあとで困ったこととして挙げたのは当日の船酔いだけで、満足度は5段階の5でした。「私は満足でした」とも書いています。
参照:海洋散骨の口コミ・評判(当サイトのアンケート。2026年10月にクラウドワークスで募集した謝礼ありのアンケートで、承認した50件から回答が矛盾するものなどを除いた40人を集計。利用の証明は求めていません。口コミページには、依頼した業者が掲載業者で、散骨した海がその業者の対応エリアに当たる32人の回答を載せています)
親族とは決める前に話し合う
墓じまいをするかどうかを決める前に、誰と何を話し合うかを先に決めておきます。お墓は、名義人だけでなく、兄弟姉妹や親戚もお参りしてきた場所です。
お墓に入れないことに違和感を持つ親族もいる
当サイトのアンケートで、散骨のあとに「親族から反対や不満が出た」と答えたのは40人中3人でした。そのうち70代以上の回答者は、遺骨の一部を手元に残し、残りを合同散骨で海へ還しています。
「一部の親族の間で伝統的なお墓に入れないことへの意見の食い違いがあり、事前の話し合いや説明にもっと時間をかけるべきでした。」
70代以上・家族が申し込み・合同散骨・2020年以前・関西(当サイトのアンケート)
この回答者の散骨は、当日の海が穏やかで、行程も予定どおりに終わっています。それでも満足度は5段階の2で、悔やむ点として挙げたのは親族との食い違いだけでした。
貸切散骨で見送った50代の回答者は、親族の反対を挙げていません。ただ、見積もりと手元供養について振り返った後に、次の一文を書いていました。
「親族への事前説明の重要性も痛感しました。」
50代・家族が申し込み・貸切散骨・2021〜2023年・関西(当サイトのアンケート)
参照:海洋散骨の口コミ・評判(当サイトのアンケート40人。一部の回答は口コミページに未掲載)
話し合う相手と順番を先に決める
話し合う相手は、お墓に入っている人の子や兄弟姉妹と、お墓の名義人です。名義人は墓地の使用者のことで、お墓を受け継ぐ祭祀承継者と同じ人とは限りません。
民法は、お墓の所有権は、亡くなった人の指定があればその人が、なければ慣習に従って祖先の祭祀を主宰する人が受け継ぐと定めています。慣習が明らかでないときに受け継ぐ人を決めるのは、家庭裁判所です。名義人でない人が改葬の許可を申請するときは、名義人の承諾書か、承諾の代わりになる裁判の謄本などを添えます。申請書の欄ごとの書き方は、改葬許可申請書の書き方と記入例の記事で扱っています。
祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)お墓や仏壇を受け継ぎ、先祖の供養を中心になって行う人。
伝える順番は、親族、墓地の管理者(お寺の墓地ならお寺)、業者の順です。親族の考えがまとまる前に業者と契約すると、親族の意見を取り入れる余地が狭まります。
親族と話し合っておくこと
- 墓じまいをするかどうか
- 取り出した遺骨の行き先
- 費用を誰がどれだけ負担するか
- 墓じまいの後、どこで手を合わせるか
散骨を選ぶときの段取りは、墓じまいして散骨する流れと手続きで扱っています。
参照:民法 第897条(e-Gov法令検索)・墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条(e-Gov法令検索)(確認日:2026年10月23日)
費用は遺骨の数と行き先まで見積もる
墓じまいの費用は、墓石の撤去だけでは終わりません。取り出した遺骨を移す先の費用に加えて、閉眼供養を頼むならそのお布施が、お寺の墓地なら離檀料もかかります。
墓じまいの費用は3つに分かれる
| 費用 | 中身 |
|---|---|
| 墓石の撤去・区画の返還 | 墓石を解体して運び出し、区画を更地に戻す |
| お寺へのお礼 | 閉眼供養のお布施。お寺の墓地なら、檀家をやめるときの離檀料も |
| 遺骨の行き先 | 新しいお墓・永代供養墓・樹木葬・散骨などの費用 |
撤去の見積もりだけで墓じまいを決めると、遺骨の行き先の費用が後から足されます。3つを合わせた総額と負担する人は、親族の話し合いで先に決める項目です。
散骨の見積もりでも、最初の金額から費用が増えた人がいました。合同散骨をした50代の回答者は、粉骨の費用が最初の金額に足されました。
「基本料金のほかに粉骨費用やオプションが別途かかるケースがあるため、最初から総額でいくらになるのかを見積もり段階で細かく確認しておけば、よりスムーズに検討できたと感じています。」
50代・家族が申し込み・合同散骨・2021〜2023年・神奈川(当サイトのアンケート)
この回答者は、困ったことや後悔したことは「特になかった」と答えており、満足度は5段階の5でした。
参照:海洋散骨の口コミ・評判(当サイトのアンケート40人。一部の回答は口コミページに未掲載)
お墓から出る遺骨は1柱とは限らない
代々のお墓には、祖父母や親など何人分もの遺骨が納められていることがあります。遺骨は1人分を1柱(はしら)と数えます。当サイトに掲載している散骨業者216社のうち53社は、2柱目以降にかかる追加料金を公式サイトに書いていました。
代行散骨で遺骨を送るときの総額(総額と追加料金を書く43社の中央値)
代行散骨の総額と、代行で使える2柱目以降の追加料金の両方を書く43社で計算すると、1柱の中央値は60,000円、3柱では121,000円でした。3柱の総額は、もっとも安い業者で59,000円、高い業者で330,000円で、5倍以上の開きでした。
代行の総額は、表示価格に別料金の粉骨と送骨キットを足した金額です。追加料金は「2柱目以降」「遺骨の追加」などの項目のうち最も安い額を2柱分足し、乗船・貸切のプランにだけかかる追加料金は除きました。お墓の遺骨と自宅で保管していた遺骨で追加料金が分かれる業者は、お墓の遺骨の額を使っています。粉骨が別料金の4社は、2柱目と3柱目の粉骨の料金も足しました。
43社のうち8社は、追加料金が粉骨の料金です。お墓から出した遺骨の洗骨・乾燥の料金は含めていません。
料金をくわしく比べる
柱の数や散骨の種類ごとの料金を比べるページが、海洋散骨の費用相場です。お墓から出した遺骨の洗骨や乾燥の料金は墓じまいして散骨する流れと手続きに、粉骨の料金は粉骨の料金・費用相場にまとめました。
集計:海洋散骨くらべ掲載業者216社の公式サイト(確認日:2026年10月6日〜16日)
離檀はお寺への相談の形で切り出す
離檀は「やめます」と通告するより、お墓を続けられない事情を相談する形で切り出します。お寺は改葬の書類を出す墓地の管理者でもあるため、離檀の相談は改葬の書類を頼む前に始めておきます。
離檀(りだん)檀家をやめて、お寺との付き合いを終えること。
閉眼供養(へいげんくよう)墓石を撤去する前に、お寺に読経してもらう儀式(魂抜き)。
離檀料に決まった金額はない
離檀料に明確な基準はなく、金額に納得がいかないときは基本的にはお寺と話し合う、というのが国民生活センターの案内です。国民生活センターは、墓じまいの際に高額なお布施(いわゆる離檀料など)を求められたという相談が寄せられているとして、注意を呼びかけています。
困ったときは、消費者ホットライン(188)に相談できます。
お寺に切り出す前にそろえておくこと
- お墓を続けられない事情
- 取り出した遺骨の行き先の案
- 閉眼供養をお願いしたい時期
参照:熊本市「【見守り情報】墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意」(国民生活センター「見守り新鮮情報」第424号・2022年6月28日の転載。確認日:2026年10月23日)
埋蔵証明書はお寺に出してもらう書類
お寺の墓地なら、改葬の許可の申請に添える埋蔵証明書を出すのはお寺です。お墓の遺骨を別のお墓や納骨堂へ移すときは市区町村に改葬の許可を申請し、申請書には原則として墓地の管理者が作る埋蔵の事実の証明を添える決まりです。
国民生活センターも、墓じまいは勝手にはできず、お寺などが出す証明書が必要だと案内しています。
証明が得られない特別な事情があるときは、市区町村長が認める書面で代えられる、というのが施行規則の定めです。それでも代わりの書面を探す手間がかかるため、墓地の管理者(お寺の墓地ならお寺)とは早めに話をしておきます。
申請先の市区町村や必要書類、郵送で出せる市は、墓じまいの流れと手続きで整理しました。
お墓から出した遺骨の申し込み書類(公式サイトに書く散骨業者57社)
お墓から出した遺骨の申し込み書類を公式サイトに書く散骨業者57社のうち、53社が改葬許可証を挙げていました。
53社には、改葬許可証とほかの書類のどれか1通で受け付ける業者も含めて数えました。
散骨を選ぶなら
散骨を選ぶ場合も、業者がどの書類で受け付けるかを、お墓を閉じる前に確かめます。業者ごとに求める書類の違いは、散骨の手続きと必要書類で集計しています。
参照:墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第2条(e-Gov法令検索)・川口市「改葬許可」・八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」(確認日:2026年10月23日)/集計:海洋散骨くらべ掲載業者の公式サイト(確認日:2026年10月6日〜16日)
遺骨の行き先は手を合わせる場所から決める
遺骨の行き先を選ぶ基準は、あとで手を合わせる場所がほしくなったときに戻せるかどうかです。行き先は、別のお墓、永代供養墓、樹木葬、散骨、手元供養などです。行き先によっては、一度納めた遺骨を戻せません。
行き先ごとの供養の方法については、記事「墓じまい後の供養方法は?代表的な6つの方法を紹介!」も参考になります。
合祀や散骨をした遺骨は取り出せない
ほかの人の遺骨と一緒に納める合祀(合葬)では、納めた後に遺骨を返してもらえません。神戸市の鵯越合葬墓も、合葬施設に納めた遺骨は返還できないという案内です。
同じ墓地の個別安置施設は、許可の期間内なら遺骨を返してもらえます。ただし10年(延長すると20年)が過ぎると、合葬施設へ移される決まりです。
| 行き先 | あとから別の場所へ移せるか | 手を合わせる場所 |
|---|---|---|
| 合祀(合葬)墓 | 移せない | 施設の参拝場所 |
| 一定の期間は個別に納める永代供養墓 | 個別の期間なら施設の規約による。合祀された後は移せない | 施設の参拝場所 |
| 散骨 | 海にまいた遺骨は取り出せない | 決まった場所は残らない |
| 手元供養 | 自宅で保管しているので移せる | 自宅 |
樹木葬の扱いは、1人ずつ埋める区画か、ほかの人と一緒に埋める区画かで変わります。移せるかどうかは施設ごとに違うので、契約の前に規約を見ておきます。
散骨を選んだ人の後悔をまとめたのが、散骨で後悔したことです。
参照:神戸市「合葬式墓地(鵯越合葬墓)」(確認日:2026年10月23日)
一部を手元に残す方法もある
当サイトのアンケートでは、遺骨の扱いに答えた37人のうち20人が、遺骨の一部を海へ還さずに残していました。手元に残した人が15人、お墓や納骨堂に納めた人が5人です。
「あと全部散骨してしまったら、お墓参りをする具体的な場所がなくなって寂しいので、手元供養用に少し遺骨を残す判断をしておいて本当に良かったと感じています。」
50代・家族が申し込み・貸切散骨・2021〜2023年・関西(当サイトのアンケート)
この回答者は、散骨のあとで困ったこととして「手を合わせる場所がなく、さみしく感じた」も選んでいます。一部を残しても、さみしさがなくなるとは限りません。
一部を残す先が継ぐ人の要るお墓や納骨堂だと、その場所を守る人がまた必要になります。お墓を継ぐ人がいないことが墓じまいの理由なら、残す先は、自宅に置ける小さな容器か、継ぐ人の要らない永代供養墓が候補になります。
手元供養(てもとくよう)遺骨の一部を小さな骨壺や容器に入れ、自宅など手元に置いて供養すること。
実家の近くの海で散骨するなら、業者と出航地を調べる入口は県ごとのページです。
ほかの地域は海洋散骨の業者一覧から探せます。
参照:海洋散骨の口コミ・評判(当サイトのアンケート40人。一部の回答は口コミページに未掲載)
墓じまいの後悔についてよくある質問
墓じまいを決める前に気になりやすい、2つの疑問に答えます。
墓じまいをすると不幸になる?
墓じまいをすると不幸になる、という考えを裏づける根拠は見当たりません。気になる場合は、墓石を撤去する前にお寺へ閉眼供養を頼み、気持ちの区切りをつける方法があります。
お寺の墓地なら、日取りは離檀の相談と合わせて決められます。
墓じまいをした後で、やり直せる?
墓石を撤去して区画を返した後は、同じお墓には戻せません。迷いが残るなら、止められるのは区画を返す前と、合祀や散骨を行う前です。
やり直せるかどうかの目安
- 区画を返す前:墓じまいを止められる
- 合祀や散骨の前:遺骨の行き先を別のお墓や納骨堂、手元供養などから選び直せる
申し込んだ後の取り消しの条件は業者や施設ごとに違うので、規約で確かめてください。
墓じまいで後悔しないために確かめる順番(まとめ)
着手する前に次の4つを順に確かめておくと、墓じまいの後悔を避けやすくなります。
- 親族と話し合う墓じまいをするか、遺骨の行き先、費用の分担、手を合わせる場所
- お寺に相談するお寺の墓地なら、離檀と閉眼供養の日取り、埋蔵証明書の発行
- 遺骨の行き先を決める全部を移すか、一部を手元に残すか
- 業者に書類を確かめる散骨なら、どの書類で受け付けるか
代行散骨の総額と2柱目以降の追加料金を両方書く掲載業者43社の中央値で、3柱の総額は121,000円でした。
散骨を選んだ人の声は海洋散骨の口コミ・評判、料金は海洋散骨の費用相場で確かめられます。
集計:海洋散骨くらべ掲載業者216社の公式サイト(確認日:2026年10月6日〜16日)