散骨は違法?海に撒く許可・法律・条例を国と自治体の資料で確認

更新日:2026年10月17日

散骨そのものを禁じる国の法律はなく、手元の遺骨を業者に頼んで海に撒くなら、遺族が役所の許可を取る必要もありません。東京都も、墓地埋葬法に散骨を禁止する規定はないという国の見解を案内しています。

ただし、遺骨を粉にしないまま撒く、土に埋める、条例で禁じた区域で撒くといった撒き方は問題になりえます。

家族に「法律違反では」と聞かれたときに見せられる、国と自治体の資料を集めました。ガイドラインごとの距離の違い、散骨を規制する条例、掲載255社の公式サイトの記載も順に並べています。

この記事の要点

  • 散骨を禁じる国の法律はなく、手元の遺骨を業者に頼んで海に撒くなら、遺族が取る許可や届け出はない。遺族を乗せて散骨する業者の船には、許可か登録が要る
  • 「法務省の見解」は1991年の記者会見での発言とされる。家族に見せるなら、東京都・横浜市の案内と厚生労働省のガイドライン
  • 陸からの距離はガイドラインごとに違い、散骨を規制する条例は2026年4月1日時点で16ある。厚生労働省のガイドラインに沿うと公式サイトに書く業者は、掲載255社中24社
  1. 散骨を禁じる国の法律はなく、節度ある散骨は刑法の遺骨遺棄罪に当たらないとされる
    1. 墓地埋葬法が墓地の中に限るのは「埋葬」と「埋蔵」で、散骨の定めはない
    2. 刑法の遺骨遺棄罪は、節度ある散骨を対象にしないとされる
  2. 家族に散骨の扱いを説明するなら、東京都・横浜市・厚生労働省の資料を見せる
    1. 「法務省の見解」は1991年の記者会見での発言とされる
    2. 家族に見せられる東京都・横浜市・厚生労働省の資料
  3. 手元の遺骨を海に撒くなら、遺族が取る許可や届け出はない
    1. 客を乗せる業者の船には、海上運送法の許可か登録が要る
    2. お墓から出した遺骨は、改葬許可の扱いが市区町村で異なる
  4. 散骨が違法やトラブルになりうる主な撒き方は5つ
  5. 散骨のガイドラインは厚生労働省・業界団体・市で、陸からの距離の決め方が違う
    1. 厚生労働省のガイドラインは業者向けで、距離の数字はない
    2. 遺骨の粉の大きさ「1〜2mm程度」は日本海洋散骨協会の基準
    3. 熱海市と伊東市は、距離のほかに撒き方と宣伝の言葉も決めている
  6. 散骨を規制する条例は2026年4月1日時点で16
    1. 散骨を禁止・原則禁止しているのは6市町村
    2. 熱海市・伊東市・三浦市は海の散骨に触れ、松島町は制定の経緯に漁業を挙げる
  7. 散骨業者が法律やガイドラインに沿うかは、3点を聞いて見比べる
  8. 散骨の法律についてよくある質問
    1. 自宅の庭や他人の土地に遺骨を撒いてもいい?
    2. 川や湖に撒いてもいい?
    3. 遺骨を自宅に置いておくのは違法?
  9. 散骨の法律のまとめ

散骨を禁じる国の法律はなく、節度ある散骨は刑法の遺骨遺棄罪に当たらないとされる

海や山に遺骨を撒く散骨を、国の法律は禁じていません。東京都保健医療局は、散骨について国が次の見解を示していると案内しています。

東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」より

「墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はない。この問題については、国民の意識、宗教的感情の動向等を注意深く見守っていく必要がある。」

「海に骨をまく」「遺灰を撒く」も、東京都が案内する「散骨」に含まれます。散骨が違法かどうかでよく名前が挙がる法律は、お墓の決まりを定めた墓地埋葬法と、遺骨の扱いを罰する刑法です。

参照:東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」(確認日:2026年10月17日)

墓地埋葬法が墓地の中に限るのは「埋葬」と「埋蔵」で、散骨の定めはない

墓地埋葬法4条が墓地の中に限っているのは、遺体を土の中に葬る「埋葬」と、火葬した遺骨を埋める「焼骨の埋蔵」です。

墓地埋葬法4条

「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」

旧厚生省は「これからの墓地等の在り方を考える懇談会」の場で、散骨は埋葬にも埋蔵にも当たらないとの見解を示したとされます。1998年にこの懇談会がまとめた報告書も、墓地埋葬法は「葬法の在り方自体を直接的に規制するものではない」としています。

反対に、遺骨を庭や山の土に埋めると墓地以外での埋蔵として4条に触れるおそれがあり、罰則は2万円以下の罰金または拘留・科料です(21条)。

参照:墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)・一般財団法人地方自治研究機構「散骨を規制する条例」(確認日:2026年10月17日)

刑法の遺骨遺棄罪は、節度ある散骨を対象にしないとされる

節度をもって行う散骨は、刑法190条の遺骨遺棄罪で処罰されないと解されています。

刑法190条

「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。」

これからの墓地等の在り方を考える懇談会 報告書(1998年)より

「刑法の遺骨遺棄罪は社会的な習俗、倫理に関するものであり、相当な節度をもって行なう場合は、散骨を処罰の対象とすることはできないと解されている。」

報告書は「節度」の中身までは決めていません。のちに厚生労働省が公表したガイドラインは、遺骨を粉にすること、海岸から一定の距離以上離れた海で撒くこと、漁業者などへの配慮を散骨業者に求めています。

参照:刑法(e-Gov法令検索)・一般財団法人地方自治研究機構「散骨を規制する条例」・厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」(確認日:2026年10月17日)

家族に散骨の扱いを説明するなら、東京都・横浜市・厚生労働省の資料を見せる

家族に散骨の扱いを説明するときに見せたいのは、国や自治体が文書で出している資料です。よく引かれる「1991年の法務省の見解」は、記者会見での発言として伝わっています。

「法務省の見解」は1991年の記者会見での発言とされる

法務大臣は1991年(平成3年)10月の記者会見で、散骨について次の趣旨を述べたとされます。

1991年10月の法務大臣の記者会見(要旨)

刑法190条は宗教的感情などを守る規定で、葬送のための祭祀として節度をもって行う限り問題はない。

掲載255社のうち81社が公式サイトでこの「法務省の見解」に触れ、記者会見での発言だと書いているのは1社です。

地方自治研究機構は、旧厚生省・厚生労働省・法務省が公式な文書でこの見解を示したものは確認できない、と解説しています。

参照:一般財団法人地方自治研究機構「散骨を規制する条例」(確認日:2026年10月17日)

家族に見せられる東京都・横浜市・厚生労働省の資料

散骨の扱いを国と自治体が文書で書いたもののうち、ここで挙げるのは次の3つです。どれもインターネットで読めるので、ページをそのまま開いて見せられます。

資料出しているところ散骨について書いてあること
散骨に関する留意事項東京都保健医療局国は墓地埋葬法に散骨を禁止する規定はないとの見解。法による手続きはない
散骨するにあたっての手続について横浜市現行の法令上の許可手続は不要。厚生労働省のガイドラインに沿った配慮が必要
散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)厚生労働省(令和2年度の研究班がまとめたもの)散骨業者が守る場所・遺骨を粉にすること・周りへの配慮・契約の決まり

厚生労働省が「墓地・埋葬等のページ」で公表しているこのガイドラインは、国の研究班がまとめた指針です。令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」の成果として出されました。

散骨ができることを前提に、業者が守る点を並べています。

参照:東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」・横浜市「散骨するにあたっての手続について」・厚生労働省「墓地・埋葬等のページ」(確認日:2026年10月17日)

手元の遺骨を海に撒くなら、遺族が取る許可や届け出はない

手元にある遺骨を業者に頼んで海に撒くとき、遺族が役所に出す許可の申請や届け出はありません。横浜市と東京都は、次のように案内しています。

横浜市と東京都の案内

  • 横浜市:「散骨するにあたり現行の法令上の許可手続は必要ありません」
  • 東京都:「法による手続きはありませんが、念のため、地元の自治体に確認することをお勧めします」

役所への手続きはなくても、業者への申し込みでは書類を求められることがあります。

首都圏の掲載43社のうち、公式サイトを読めた約35社を2026年10月10日に調べました。申し込みの書類を書く20社のうち、15社が埋葬許可証(火葬許可証)などを求めていました。

申し込みの書類と手続きの順番は、海洋散骨の手続きの記事をご覧ください。

「散骨の許可」と呼ばれるものを、誰に、どんなときに要るかで並べると次のとおりです。

誰がどんなとき要る手続き
遺族業者に頼んで海に撒くなし
遺族お墓から遺骨を出して撒く改葬許可の扱いは市区町村で異なる
散骨業者遺族を船に乗せて散骨する海上運送法の許可(旅客定員13名以上の船)か登録(12名以下の船)

参照:横浜市「散骨するにあたっての手続について」・東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」(確認日:2026年10月17日)

客を乗せる業者の船には、海上運送法の許可か登録が要る

海上運送法の許可や登録を受けるのは、遺族を船に乗せて散骨する業者の側です。国土交通省の「海上において散骨をする場合において遵守すべき海事関係法令の解説」は、散骨で旅客を乗せる場合には海上運送法が適用されるとしています。

国土交通省の解説が散骨業者に求めること

  • 許可・登録の手続きは、最寄りの地方運輸局(運輸支局・海事事務所)で行う
  • 船客損害賠償保険に入る
  • 小型船舶の操縦者は「特定」免許を取る
  • 乗る人に救命胴衣を着せる

家族が船に乗る合同散骨や貸切散骨を選ぶときに、確かめておきたい点です。掲載255社のうち、船の許可・登録や旅客船の届け出に公式サイトで触れている業者は51社です。

参照:国土交通省「海上において散骨をする場合において遵守すべき海事関係法令の解説」(確認日:2026年10月17日)

お墓から出した遺骨は、改葬許可の扱いが市区町村で異なる

お墓に納めてある遺骨を取り出して散骨するときの手続きは、市区町村ごとに扱いが分かれます。東京都の案内を、移す先ごとに分けると次のとおりです。

お墓から遺骨を取り出すときの手続き(東京都の案内)

  • 別のお墓や納骨堂へ移す:区市町村の改葬許可が要る
  • 散骨のために取り出す:「区市町村により取扱いが異なります」

お墓がある市区町村の窓口で、散骨のために取り出すと伝えて必要な書類を聞くと、二度手間を防げます。

墓じまいして散骨するときの手続きは、墓じまいして散骨する流れの記事をご覧ください。

散骨が違法やトラブルになりうる主な撒き方は5つ

散骨が問題になりうるのは、撒き方が法律・条例・ガイドラインの線を越えたときです。主な5つの撒き方と、それぞれに関係する決まりを並べました。

撒き方関係する決まり決まりの種類
遺骨を粉にしないまま撒く厚生労働省のガイドラインは、形が分からないよう粉状に砕くことを求める。刑法の遺骨遺棄罪は、節度ある散骨を処罰しないと解されているガイドライン・法律
遺骨を土に埋める墓地埋葬法4条は、墓地以外の区域での焼骨の埋蔵を禁じている法律
陸の近くや、漁場・養殖場の近くで撒く厚生労働省のガイドラインは陸から離れた海で撒くことと、漁業者などへの配慮を求める。日本海洋散骨協会は、漁場・養殖場・航路を避けるよう努めると決めているガイドライン
条例で散骨を禁じた区域で撒く長沼町・松島町・南阿蘇村などの条例条例
自然に還らない物を一緒に撒く厚生労働省のガイドラインは、プラスチックやビニールの副葬品を投下しないよう求め、守る法令に廃棄物処理法を挙げているガイドライン

5つのうち4つの線を具体的に決めているのは、法律ではなくガイドラインと条例です。

業者に頼まず自分で撒く場合も、墓地埋葬法や刑法、「何人も」と定める条例はかかります。厚生労働省と協会のガイドラインは業者向けですが、東京都は海や川での散骨に水産物などの風評被害のおそれがあると案内しています。

散骨で起きやすいトラブルと防ぎ方は、散骨のトラブルの記事をご覧ください。

服装は業者の案内に合わせる

喪服を避けて平服で来るよう案内する業者があり、理由に近隣への配慮や公共の桟橋を使うことを挙げています。

当日の服装や持ち物は、海洋散骨の流れの記事にまとめました。

参照:墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)・厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」・一般社団法人日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」・一般財団法人地方自治研究機構「散骨を規制する条例」・東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」(確認日:2026年10月17日)

散骨のガイドラインは厚生労働省・業界団体・市で、陸からの距離の決め方が違う

海で撒く場所の距離を定めた散骨のガイドラインのうち、ここで比べるのは厚生労働省、業界団体の日本海洋散骨協会、熱海市・伊東市の3種類です。陸から何km離れて撒くかの数字は、それぞれ違います。

厚生労働省・協会・熱海市は散骨業者に向けた決まりで、伊東市の指針は海洋散骨を行う人と業者の両方に向けています。

ガイドライン陸からの距離遺骨の粉の大きさ決まりの性格
厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」海岸から一定の距離以上(数字はない)数字はない国の研究班がまとめた業者向けの指針
日本海洋散骨協会ガイドライン人が立ち入れる陸地から1海里(約1.85km)以上1〜2mm程度加盟する業者の自主基準
熱海市海洋散骨事業ガイドライン市内の陸地(初島を含む)から10km以上パウダー状市が業者に遵守を要請
伊東市における海洋散骨に係る指針市内の陸地から6海里(約11.11km)以内では撒かない定めはない市が散骨を行う人と業者に遵守を要請

掲載255社のうち、陸や港から何km離れて撒くかを自社の決まりとして公式サイトに書いている業者は26社です。いちばん多いのは、協会と同じ1海里の13社です。

陸や港からの距離を自社の決まりとして書く業者(26社)

1海里(約1.85km)13社
2〜3海里(約3.7〜5.6km)7社
5〜6海里・10km(約9〜11km)5社
10海里・20km以上1社

掲載255社の公式サイトから集計。確認日:2026年10月17日

厚生労働省のガイドラインは業者向けで、距離の数字はない

厚生労働省のガイドラインは、海で撒く場所を「海岸から一定の距離以上離れた海域」とし、距離は地理や利用状況に合わせて適切に決めるよう求めています。数字を決めていないため、何km離れれば足りるかは、業者や自治体の決まりで変わります。

撒く場所のほかに、業者が守る項目

  • 契約の内容を書いた約款を公表する
  • 散骨のあとに散骨証明書を渡す
  • 参列者の安全を確保する
  • 散骨の件数と場所を毎年ホームページなどで公表する

散骨証明書の中身と受け取り方は、散骨証明書の記事にまとめました。

参照:厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」(確認日:2026年10月17日)

遺骨の粉の大きさ「1〜2mm程度」は日本海洋散骨協会の基準

よく見る「遺骨は2mm以下に」という数字は法律の決まりではなく、日本海洋散骨協会のガイドラインは「1mm~2mm程度」としています。協会が粉にする理由に挙げるのは、遺骨のままでは見た人が遺骨を捨てているのか見分けられず、宗教的感情を害するおそれです。

日本海洋散骨協会ガイドラインの、距離と粉のほかの決まり

  • 河川・湖沼・浜辺・防波堤では撒かない
  • フェリーや遊覧船など、一般の客がいる船では撒かない

粉の大きさを公式サイトに書いている76社のうち、71社が書く大きさは2mm以下(1〜2mm程度を含む)です。

参照:一般社団法人日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」(確認日:2026年10月17日)

熱海市と伊東市は、距離のほかに撒き方と宣伝の言葉も決めている

熱海市と伊東市は、撒く距離のほかに、撒き方や宣伝の言葉まで決めています。どちらも罰則を定めた条例ではなく、熱海市は業者に、伊東市は海洋散骨を行う人と業者に遵守を要請する形です。

自治体距離のほかに求めていること
熱海市海水浴客の多い夏は控える。焼骨は水溶性の袋に入れて海面へ投下する。自然に還らない物(金属・ビニール・プラスチック・ガラスなど)を撒かない。「熱海沖」「初島沖」など「熱海」を連想させる言葉で宣伝しない
伊東市自然に還らない物(金属・ビニール・プラスチック・ガラスなど)を撒かない。「伊東」を連想させる言葉で宣伝しない

参照:熱海市「熱海市海洋散骨事業ガイドライン」・伊東市「伊東市における海洋散骨に係る指針」(確認日:2026年10月17日)

散骨を規制する条例は2026年4月1日時点で16

地方自治研究機構の調べでは、散骨を規制する条例は2026年4月1日時点で16です。条例とは別に、熱海市と伊東市は海洋散骨のガイドラインと指針を出し、2021年にまとまった厚生労働省の研究報告書は七飯町の要綱も例に挙げています。

散骨を禁止・原則禁止しているのは6市町村

16の条例は、決めている中身で4つのタイプに分かれます。散骨を禁止・原則禁止しているのは、表の上の3段に入る6市町村です。

タイプ自治体中身
散骨を禁止長沼町(北海道)・松島町(宮城県)・南阿蘇村(熊本県)墓地以外での散骨(長沼町・南阿蘇村)や、みだりな散骨(松島町)を禁じる
散骨を原則禁止秩父市(埼玉県)・伊佐市(鹿児島県)条件を満たし、届け出(秩父市)か市長の承認(伊佐市)を得れば撒ける
散骨場の許可制と原則禁止岩見沢市(北海道)散骨場の経営を許可制にし、散骨場以外では届け出がなければ撒けない
散骨場の許可制諏訪市(長野県)・御殿場市(静岡県)・本庄市(埼玉県)・湯河原町(神奈川県)・熱海市(静岡県)・箱根町(神奈川県)・伊東市(静岡県)・三島市(静岡県)・愛南町(愛媛県)・三浦市(神奈川県)散骨場を開く業者に許可を求める

長沼町の条例11条は「何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。」と定めています。違反して町長の命令に従わない人や、散骨の場所の提供を業とした人には罰則があります(17条)。

散骨場の許可制の条例は、主に散骨場を開く業者に向けた決まりです。

参照:一般財団法人地方自治研究機構「散骨を規制する条例」・長沼町さわやか環境づくり条例(確認日:2026年10月17日)

熱海市・伊東市・三浦市は海の散骨に触れ、松島町は制定の経緯に漁業を挙げる

熱海市と伊東市は、条例とは別のガイドラインと指針で、海洋散骨の距離を決めています。三浦市は条文で海岸や海域に触れ、松島町は制定の経緯にカキ養殖などの漁業を挙げています。

三浦市の条例18条は、散骨してはいけない場所を次のように決めていて、18条に罰則はありません。

三浦市の条例18条の要点

  • 河川・湖沼などの公共の水域(海域を除く)では散骨しない
  • 公園・道路・海岸などの公共の場所(海域を除く)と、他人が所有・管理する土地や建物では散骨しない(権原がある場合を除く)
  • 海域を含めて散骨するときは、市長が別に定める指針を参照して適切に行う

松島町環境美化の促進に関する条例8条

「何人も、みだりに焼骨を散布してはならない。」

地方自治研究機構が紹介する制定の経緯は「カキ養殖等の漁業。散骨による風評被害を懸念し、禁止に」です。

松島湾の近くで散骨を考えるなら、撒く場所を業者に先に確かめておくと、あとで場所を変えずに済みます。

海洋散骨くらべの市区町村ページでは、2026年10月16日に北九州・函館・名古屋・熱海など10の市と地域の決まりを調べました。海洋散骨について市の決まりが見つかったのは、熱海市だけでした。

決まりが見つからない=決まりがない、ではない

撒く海に近い市町村に決まりがあるかは、申し込むときに業者へ聞いておきます。

参照:三浦市散骨場の経営等の許可等に関する条例・松島町環境美化の促進に関する条例(確認日:2026年10月17日)

散骨業者が法律やガイドラインに沿うかは、3点を聞いて見比べる

掲載255社のうち、厚生労働省のガイドラインに沿って散骨すると公式サイトに書いている業者は24社です。日本海洋散骨協会への加盟か、協会のガイドラインに沿うことを書いている業者は26社でした。

書いていない業者にも、申し込む前に次の3点を聞いておくと、法律やガイドラインに沿っているかの目安になります。

  1. 陸からの距離陸から何km(何海里)離れた海で撒くか
  2. 遺骨の粉の大きさ遺骨を何mmまで粉にするか
  3. 船の許可・登録家族が乗る船が、海上運送法の許可か登録を受けているか

距離と粉の大きさは、答えをガイドラインの基準と見比べられる項目です。家族が乗る合同散骨や貸切散骨では、船の許可・登録についても答えを聞いておきます。

参照:厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」・一般社団法人日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」・国土交通省「海上において散骨をする場合において遵守すべき海事関係法令の解説」(確認日:2026年10月17日)

集計の方法:2026年10月17日に、掲載255社の公式サイトをトップページから最大20ページまで読みました。法律・ガイドライン・距離(港からとして書くものを含む)・粉の大きさについての記載を分けて数えています。記載が見つからない業者が、その対応をしていないとは限りません。

散骨の法律についてよくある質問

庭・川や湖・自宅での保管について、答えの出どころは東京都の案内とガイドライン、条例の条文です。

自宅の庭や他人の土地に遺骨を撒いてもいい?

自宅の庭に撒くことについて、東京都は、骨が風で飛ばされたり、住まいのそばに骨が撒かれて気分を害する人が出たりするおそれを挙げています。

東京都保健医療局の案内

「個人が庭などに墓地をつくることは法令上認められていません」

他人の土地については、所有者の承諾などの権原なしに撒くことを条例で禁じた自治体もあり、三浦市の条例18条2項がその例です。

川や湖に撒いてもいい?

厚生労働省のガイドラインは陸で撒く区域から川や湖を除き、日本海洋散骨協会も川や湖では撒かないと決めています。協会が理由に挙げるのは、川や湖が飲み水の水源になっている場合があることです。

川や湖についての決まり

  • 厚生労働省のガイドライン:陸で撒く区域から河川・湖沼を除く
  • 日本海洋散骨協会:河川・湖・沼・河口付近では撒かない
  • 三浦市の条例:河川・湖沼などの公共の水域では散骨しない

遺骨を自宅に置いておくのは違法?

四十九日や一周忌を待って散骨するまで、遺骨を自宅に置いておくことについて、東京都は次のように答えています。

東京都保健医療局「墓地等に関するよくある質問」より

「墓地、埋葬等に関する法律では、自宅での焼骨の保管については特に規定はありません」

参照:東京都保健医療局「墓地等に関するよくある質問」・東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」・一般社団法人日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」・三浦市散骨場の経営等の許可等に関する条例(確認日:2026年10月17日)

散骨の法律のまとめ

  • 散骨を禁じる国の法律はなく、手元の遺骨を業者に頼んで海に撒くなら、遺族が取る許可や届け出はない
  • 遺族を乗せて散骨する業者の船には、海上運送法の許可か登録が要る
  • 陸からの距離と粉の大きさはガイドラインごとに違い、散骨を規制する条例は2026年4月1日時点で16ある

業者を選ぶときは、陸からの距離・遺骨の粉の大きさ・船の許可や登録の3点に、はっきり答えられるかを見ます。

参照:横浜市「散骨するにあたっての手続について」・国土交通省「海上において散骨をする場合において遵守すべき海事関係法令の解説」・一般財団法人地方自治研究機構「散骨を規制する条例」(確認日:2026年10月17日)